『古語伝』の「小具足」の逸話にちなんで、一尺二寸(約36㎝)前後の袋竹刀や小木刀を使って稽古をします。
*「古語伝」=こごでん・・・
*「逸話」=いつわ・・・・・
*「袋竹刀」=ふくろじない・
*「小木刀」=しょうぼくとう
◇袋竹刀
袋竹刀は、道場備えつけのものを使用します。革袋の中に先を細かく割った竹を入れた稽古用の武具です。稽古で割り竹が相当痛みますので、修復作業奉仕をします。
上達したら、愛用の袋竹刀を自作します。師範・師範代に作り方をたずねてください。
◇袋竹刀での稽古
初心者は袋竹刀で稽古を始めます。ぱちんと心地よい音が響くようになったら寸止めの稽古に移ります。
★袋竹刀を使った気迫あふれる大会演武が好評です。特に稽古さながらにパチンと響く音には迫力があります。
岡山県北には、明治・大正時代に黒光りするほど使い込んだ革袋竹刀を残す旧家があります。
◇小木刀での稽古
◆小木刀は、道場備え付けのものを使用します。
上達したら見よう見まねで自作したものを使います。長さは一尺二寸(約36㎝)前後を目安にします。
初めのうちは、道場備え付けの品を使って稽古をしても結構です。しかし、諸芸と同じく、上達に近づくにつれて自分愛用の用具を使うのが常識です。
◆稽古の仕方
稽古のときには、次の2点を特に意識することが肝心(肝腎)です。
★最初から木刀を使って稽古をしていると遠慮がちになり、勢いのない弱々しい癖がつくので要注意!
◇模擬刀・真剣での稽古
◆模擬刀や真剣は各自で管理し、不用意に持ち歩かないこと。真剣を所持するときには、「銃砲刀剣類登録証」必携です。
違乱の場合は、掟により出席堅く無用となります。
◆稽古の仕方
★平素の組討稽古は、袋竹刀または小木刀に徹すること。模擬刀・真剣などは邪道。
「くちはで」(前羽手)では用具を使いません。素手が基本です。
*「素手」=すで
〈写真説明〉上から順に…
◆つえ=くちはでの「つえどり」などで使う杖です。
◆ぼう=「つえどり」や「おくぼう」で使う棒です。
小学生の「おもてぼう」でも使います。
◆ぼう=「うらぼう」で使う棒です。
初心者は、「おもてぼう」でも使います。
◆ぼう=「おもてぼう」で使う棒です。
◆ぼう=「おもてぼう」で使うずいぶん重い六尺棒です。
◇初心者は、「表棒」の稽古から始めます。
表棒では、通常、六尺(約180㎝)前後の樫(カシ)の丸棒を使います。少々の長短があります。
表棒で使う棒は比較的太く重い棒です。ずっしりと重い感じがします。六尺棒と呼ばれています。
この棒で鋭く、力強く振る稽古をします。古来からの表棒の見本は文政道場に展示してありますので、手に取って確かめてみましょう。通常は「六尺棒」と呼ばれ、地域の秋祭りのときに奉納される「棒遣い」でも使われています。
表棒が一通りできるようになると「裏棒」です。
おっとっと、表棒用の棒で裏棒の稽古をするのは少々難儀です。”ちらし”をするときに手首に負担がかかり過ぎるのです。そのために、裏棒では、表棒よりは少し細く、軽い棒を使って稽古をします。
あれれ、時に裏棒用の比較的軽い棒で表棒をやっている人を見かけます。初心者の頃は、自分に合った棒を選ぶ観点からは推奨されることです。しかし、かなり上達した人が裏棒の棒を軽々と操って表棒の稽古をするのは邪道!
《愛用の棒》
武道具店などへ自分愛用の棒を発注されることをおすすめします。道場備え付けの棒を見本にして、まずは表棒、次に裏棒です。
以前は、門人であれば、床の間に黒光りするほど使い込んだ愛用の棒を飾り、大会等の晴れの場で振るのが通例でした。